肝腎を強くする食べ物となると、少しにが味のある食物ということいなります。
野菜では春の七草やフキノトウをはじめ、チシャや春菊、魚ではなまこの内臓である。
”このわた”とか、動物の肝などです。
昔から「良薬は口に苦し」といわれていますが、人間の活力を出しているのは、肝腎です。
生きているかどうかの判定は、心臓で決まりますが、心臓を守っているのは肝と腎なのです。
肝臓は解毒作用、腎臓は利尿作用を管理していますが、たとえば、甘味を食べすぎると小便が出なくなります。
出ないということは、下痢をするか、頭や皮膚から水分を出すということですから、神経症にかかり、腺病質とかアレルギー症に発展していくのです。
食べ物の甘い、塩辛いということは、健康に密接につながっているわけです。
女性は男性に比べると人一倍甘いものを食べたがります。
それもそのはず、女性は一ヶ月に一度何百CCという出血をして、たいへんなエネルギーを消費しているのです。
もし、男性がそれだけの出血をすると、貧血を起こして、二、三日はぐったり寝込んでしまいます。
だから、女性はエネルギーを出せる貯蔵栄養をもっていなければなりません。
甘党屋で食べた澱粉やあん蜜がグリコーゲンとなって、脂肪にしてたくわえられているのです。
若い女性に人気が有るのはおさつ――焼き芋です。
さつま芋は澱粉質であり、これは女性に生命力を与えている源だということができます。
女性が甘党なら、男性は辛党というのが常識です。
男性は頭を使い、皮膚から気を出して生きている動物です。
気がつまると意気消沈なんてことになります。
そこで気を払うため、頭や皮膚から順調に水分を気体にして発散する必要があります。
男性がうれしいといっては酒を飲み、悲しいといっては酒を飲むのは発散しているわけなのです。
どちらかというと、ビールは西欧のような塩分のいらない国で飲む酒です。
日本のように皮膚から水分を出せないところでは、やたらに小用に出かける回数が多くなり、腎臓に負担がかかります。飲みすぎると水帯の原因にもなります。
日本酒は日本の風土で生まれた酒、ビールに比べると腎臓の負担は楽になっています。
水帯を起こさないために、酒の肴というものが重要になってきます。
よく、昔の酒屋の店先で、酒の肴に岩塩をかしんかちんとかじりながら飲んでいる人がいました。
なかにはみそ樽のミソをなめながらやっている人もいました。
これはちゃんと理屈にあっているのです。
塩辛いものを食べれば水帯を防ぎ、どんどん排泄させてくれるのです。
ビールの国のドイツ人が、ビールに利尿作用のあるホップのほろ苦さを入れたのと同じで、にが味はどきどきする心臓の炎症をちゃんとおさえる効果ももっているわけです。
渡邉武博士『漢方が救う人体危機』より
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