2010年5月 野外研修の感想
好天に恵まれた5月9日、日中医薬研究会に入会して初めての野外研修でした。
まず最初に訪れたのは、奈良県宇陀市にある“森野旧薬草園”。
事前の資料で予習(予想)はしていたものの、自分の育った郡上(岐阜)の山野とよく似た風景の中に、これだけの薬草が存在していることに驚き、関心し手入れや管理をされている方々のご努力を思うと頭が下がる思いです。
よく見ると、幼いころ裏山で遊びながら、祖父や父から教えられた「おいしいハッパ」「おいしい草の実」として無造作に口にしていたものが、以外に貴重な生薬であったことを知り驚くと同時にそのおかげで今の丈夫な体があり、導かれるべくして薬の道に入りまた日中医薬研究会の中に自分自身がいるのかなぁ と思えたのです。
丁寧に案内板が掲示されており、本や普段の学びの中に出てくる生薬名と実物が自分のなかでリンクできた一時でした。
普段の研修で見る濃縮された乾燥原料とはまた異なる、生き生きとした自然生薬を目の当たりにし山野を渡る甘い風や匂いと共にその自然のエネルギーを感じることができました。
その後は、大願寺での薬草料理をいただきました。
お茶から前菜~デザートまですべてが薬草というのも初体験でしたが、出された料理の量と品数のわりにはちょうどよい具合で、山歩きで疲れたお腹と体に心地よい食事でした。
その後、葛の館でいただいた“葛きり”は日ごろ身近で口にするものとは次元の違うもので、透明度と喉越しがよく、昼食からそれほど間がないのに完食してしまいました。
厨房の女性が汗だくになって1人前ずつ支度している様子が印象的でした。
最後は大神神社への参拝です。本日2度目の山登りでしたが、不思議と足取りは軽くエネルギーをいただき、癒されたような心地よいお参りとなりました。
おかげさまで初めての野外研修は心身・頭脳ともに充実感を味わうことができました。
機会があれば是非また参加したいと思います。
ありがとうございました。
渡邉繁久(血熱パンダ)
日中医薬研究会 関西支部 野外研修レポート
平成22年5月9日(日)
文化財史跡 森野旧薬園
大神神社
まさに五月晴れという爽やかな天気に恵まれた野外研修の一日でした。
私個人が小学校低学年まで育った大和八木が集合地で、前日に本家の墓参りをして臨み、感慨深いスタートとなりました。また今回は、30年前にこの近くの橿原神宮で挙式を挙げた家内も特別に参加をお許しいただき、感謝の一日となりました。
午前中のメイン研修であります森野旧薬園は、和漢薬の歴史を感じ、渡邊武先生が残された「規」の実践・継続には欠かせない聖地でした。自然植物の「元気」をいただきながら、生薬原料植物と楽しく向き合うことができました。先輩方のお話では、以前の野外研修の時よりもはるかに整備されていたようで、案内役で旧薬園のお世話もされている方のご努力に敬服しました。未熟な私におきましては、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」を見分けるのがやっとで、普段からの植物との触れ合いの薄さを反省しました。殊に印象に残ったのは牡丹で、美しい花を咲かせ、白・赤・紫など、どの色の牡丹も本当に輝いていました。
また、この旧薬園を維持されている?森野吉野葛本舗さんのメインである「吉野本葛」の晒し場の広さや葛の根の大きさが想像以上で、冬の寒い気候、美しい水、自然を大切にした製法を感じました。
記念写真を撮影、約二百種類の薬用植物とお別れし、お昼は旧薬園より徒歩で数分の大願寺薬草料理をいただきました。前菜各種、吉野葛使用の胡麻豆腐、酢の物、白和え、三種盛りなど美味が続き、メインディッシュの吉野本葛を使用した葛の刺身、薬草のてんぷら、黒米、吸い物と絶品でした。デザートの自家製のお菓子、10種類の薬草が入ったお茶も最高でした。これだけの薬草料理で満腹になりながらも、すぐ後に?森野吉野葛本舗さん直営の「葛の館」にて、葛切り、本わらびもちを参加者の方全員が苦も無く食しました。脾胃に良いものは身体がよく知っているのでしょうか?また会員の方々の日々の食養の実践の賜物でしょうか?
なお?森野吉野葛本舗さんの葛製品は、他の澱粉との区別のために「吉野本葛」が地域団体登録商標となっています。
そして午後のメインとなる大物主大神(倭大物主櫛甕玉命)を主祭神とし大己貴神(おおなむちのかみ)、少彦名神(すくなひこなのかみ)を配祀する「大神神社(おおみわじんじゃ)」参拝です。国造りの神様として、農業、工業、商業すべての産業開発、 方除、治病、造酒、製薬、禁厭、交通、航海、縁結びなど、 世の中の幸福を増進することを計られた人間生活の守護神として 尊崇されています。神社に入ったとたんに神々しさや涼しさを感じ、最近ではインターネット上にパワースポットと紹介されている意味も理解できました。摂社である狭井坐大神荒魂神社(狭井神社)は大神荒魂神を祭る式内社で病気平癒の神社で、こちらも参拝させてもらいました。昨年整備された「くすりの道」を通る行程があり、飲料として御神水も湧き出ていました。多くの方がペットボトル持参で持ち帰られていました。
午前中、午後と相当の運動をした一日にもなりましたが、帰路につく皆さんの足どりは軽く、私自身も最近になく体調が良くなるのを感じました。来年は鍼灸治療のためのチャレンジである国家試験がありますが、また参拝に来ようと思います。
伊東会長、田中先生、小林先生のご案内のお世話をおかけし、また多くの先輩方のおかげ様で本当に学びの深い一日を過ごせました。 感謝
深井 和教
